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トリクレン、メチクレンの廃止について
(塩素系有機溶剤の廃止について)


 今回は、地球環境の汚染防止について、当社の取り組みをご報告いたします。
めっき業に課せられた環境規制は幅広いため、今回取り上げるのは、オゾン層破壊、大気汚染、水質悪化に影響の大きいトリクレン、メチクレン塩素系有機溶剤)の廃止について、解説と当社取り組みをご説明いたします。

Question トリクレン、メチクレン(塩素系有機溶剤)は何に使うの?
めっき工場では、お客様から預かった品物を、めっきする前に脱脂をします。そのほか、めっきした品物を、水洗い、乾燥の工程で活躍しております。
すでに全廃されたフロン、トリクロールエタンも、同じ目的で使われていました。
これらの塩素系有機溶剤は、優れた性能をもち @引火しない A分解しない B脱脂力は抜群で早い C浸透力が高いので、めくら穴、かしめ、スポットのすき間まで洗える。 Dどんな種類の油脂でも容易に脱脂できる。E 設備面積が小さい。 このことから、一時はフロンや塩素系溶剤を夢の溶剤とも思いました。
しかしご存じのように、今はフロン・エタンは、オゾン層破壊の元凶とされ廃止となり、フロン・エタンに替わる洗浄剤が提案されました。1、代替フロン類 2、炭化水素類 3、アルコール類 4、水系洗浄類 5、塩素化炭化水素類などが提案されています。
Question トりクレン・メチクレンの替わりになるの?
ところが、今は許可されていても、間もなくオゾン層破壊で規制されるものや、全ての点で脱脂力・洗浄力など性能の劣るものが多いのです。トリクレン・メチクレンは、オゾン層を破壊しないので、めっき工場のほとんどが使っていますが、ますます厳しくなる環境規制・公害規制・労働衛生をクリアすることは、大変難しくなって来ました。
Question ヒキフネは今までどうしてきたの?
当社は、すでに5年前から、トリクレンによる脱脂を水系の脱脂に切り替えています。脱脂力の劣る水系脱脂を導入するには、大きな壁がありましたが、乗り切ることができました。そのとき、同時に水洗乾燥のトリクレンを廃止して、水系乾燥に代える努力をしたのですが、予想外の障害が多く、しかも規制もゆるかったので、一時中断をしました。
脱脂の後にめっき加工があるのと、めっき加工の後の仕上げ乾燥とでは、難しさは比較にならないほど違います。
Question 何が難しいの?
品物にある、めくら穴、かしめ穴、スポット溶接のすきま、などから「しみ」が流れます。水の溜りもしみになります。見た目には、しみひとつなく見えても、塗装すると塗膜が剥がれることもあります。
いかに、トリクレンが優秀な溶剤であるか感心しました。
Question それでは、これからどうするの?
結論を出しました。「地球環境を汚染する有機溶剤は使わない。水系の乾燥工程に代える」。以前の中断した時から比べると、純水装置、加熱装置、噴射ノズル、超音波など周辺機器と、洗浄技術が充実したため、研究が進みやすくなっています。
 しかし、生産ラインを変えるのは現場の抵抗があります。今までは、溶剤で容易に完全乾燥ができ、不良のなかったものが、水系の乾燥に代えたために、不良の出る不安を抱えながらながら導入するのです。
 もちろん、技術部では量産時を考えた実験機を作り、あらゆる場合を想定して、試行錯誤と研究を重ね、現場導入の基礎を作るのですが、導入現場では複雑な要素もからみ、トリクレン乾燥と、同じレベルになるまでには時間がかかります。

地球環境の悪化から、環境規制はどんどん厳しくなります。
当社はこの技術開発を通じて、同じ問題に苦しむ同業者に助言や提案をして行こうと思います。


※ この記事は1998年3月時点のものです。


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