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黒色処理のいろいろ


 前回では、黒色処理のうち無反射のものについて解説しましたが、今回はデーターを交えて「表面処理による黒色化技術(榎本英彦氏)」の解説をします。
  黒色と言っても完全な黒色は現実にはありません。暖色系、寒色系があり若干の色調に差があります。黒色処理には、化成処理・めっき・陽極酸化・塗装法などがあります。それぞれの処理法は、使われる用途・目的・価格によって選択されます。
 例えば、カメラなどの高級品のネジは、下地の防蝕に2重ニッケルめっきをしてから黒クロムメッキをします。同じネジでも、ビデオカセットのネジは亜鉛めっき・黒色クロメートです。両者の価格差は50倍の開きがあります。今までは、安価な鉄の黒染めが一番多く使われていましたが、耐食性が無いので黒クロメート(亜鉛)に変わりました。

「黒色クロムめっき」

「黒色クロムめっき」は、漆黒の被膜が得られます。

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用途は主に、計器の外装・黒色塗装の下地めっき・装身具・釣り針・自動車・自転車・バイクなどの部品・カメラ・事務機・ソーラーパネルなどに使われます。

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黒クロムの表面は、粉ふき状態なので、薄いクリヤーコーティングをするか、オイル・ワックスなどを塗り表面を定させます。

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耐食性は屋外暴露・塩水噴霧・キャステストなど極めて良い試験結果があります。
その理由として、表面がクロメート被膜や非晶質に近い層があると考えられます。

C

硬度(Hv100)や対摩耗性は低く容易に傷が付きます。しかし、テストでは黒ニッケル。黒色クロメートより対摩耗性が優れているとの評価があります。

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耐熱性を要求する場合は、装飾用は300C°・耐熱用は570〜800°Cです

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6価のクロムを使うので環境対策上問題が残ります。

「黒色ニッケルめっき」

「黒色ニッケルめっき」は、ニッケルと亜鉛の合金めっきで褐色系の黒色です。

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用途はアクセサリー・雑貨に使われます。以前はカメラの内装に使われたこともありましたが、耐食性が無いのと、黒色が薄いので現在は使われていません。加工価格も低廉です

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表面の外観は、下地の影響をうけ鏡面(下地メッキが光沢ニッケル、光沢硫酸銅)の場合は光った黒色になり、梨地の場合は灰色となります。

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耐食性は極めて悪く、クリアーコーティングによって保護をします。

C

硬度は150Hvとの報告がありますが、被膜が薄いので対摩耗性は、クリヤーの摩耗を見ることになります。

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耐熱用途には使われたことがありません

「黒色系合金めっき」

黒色ニッケルの改良型で、ニッケルとスズの合金めっきです。大きく分けて3種類の黒色めっきがあります。色調も褐色系、青系、紫系とあります。中でも紫系(黒色SnーNiーS)が最も漆黒に近いです。

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用途はアクセサリー・雑貨・カメラ・Av機器のボタンなどに使われます。

A

表面の外観は、黒色ニッケルと同じように下地の影響を受けますが、黒色ニッケルに比べて深い黒さがあります。

B

耐食性は黒色ニッケルに比べて良いが、めっき後にクロメート(経時変化する)処理を必要としますが、クリヤーコーティングが最も望ましいと考えられます。

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硬度はHv300〜600の報告がありますが、実際には傷のつき方を見ると、黒色ニッケルより柔らかいようです。対摩耗性は黒ニッケルの方が良いとの報告もあります。

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耐熱性は乏しく、スズ合金のためか200°Cで変色が始まります。

「無電解ニッケル黒化処理」

これは無電解ニッケルメッキと化成処理を組み合わせたものです。
無電解NIメッキで寸法精度と耐食性を保証し、化成処理で真っ黒な無反射の被膜を作ります。真黒・無反射・耐食性・寸法精度を要求する用途には、この処理法をすすめます。
原理は、無電解ニッケルの表面にあるリンを薬品で溶解し、表面に黒い酸化物の細かい針状結晶を作るのです。下地メッキが無電解ニッケルなので、被膜の安定性が高く耐食性や寸法精度も保証されます。

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用途は真空容器の内面や、高温下の使用など、厳しい条件下での、光学系封品に使われています。

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外観は漆黒で、下地の状態により光沢黒色、無光沢黒色が得られます。

B

耐食性は黒色皮膜の中で、最も強い皮膜です。

C

硬度はHv400〜500対摩耗性も良好です。

D

耐熱性は高く700℃でも退色を起こしません。

「黒色クロメート」

「黒色クロメート」亜鉛めっきのクロメート処理の一種で漆黒色が得られます。

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用途は自動車・家電製品・ネジ・リテーナーなど広範に使われています。

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外観は漆黒で下地により光沢黒色、梨地黒色(無光沢)が得られます。

B

耐食性は抜群で、自動車部品に多く使われています。

C

硬度は低い。

D

耐熱性はクロメートであるため高温では使用できません。

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6価クロムを含む被膜なので環境汚染のの恐れがあります。

「鉄の黒染め」

「鉄の黒染め」簡便に漆黒の色調が得られます。

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用途は、古くから銃身・カメラ部品・タイプライタ・通信機に使われていました。

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外観は下地が鏡面の場合は、光った艶のある漆黒、梨地面でも漆黒調が得られます。

B

耐食性は非常に悪く、塩水噴霧試験で10分で発錆します。防錆油の塗布が必要です。
  用途は耐食性の悪さから減少をしています。

「陽極酸化による黒色化」

アルミ素材に限られますが、光沢から、梨地まで黒色が得られます。
6種類の加工方法がありますが、電解着色が最も優れた物性の黒色が得られます。

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用途は建材・光学部品・装飾品・ソーラーコレクタなど。

A

外観は漆黒、下地の調整で光沢・無光沢が得られます。

B

耐食性は優れています。

C

硬度もあり、対摩耗性にも優れています。

D

耐熱・退色性も優れた特性をもちます。

「塗装による黒色化」

「塗装による黒色化」どんな素材にでも自由な黒色表面が得られます。環境汚染問題で溶剤塗装から電着塗装に移ってきました

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用途はあらゆる製品・場所で使われています。

A

外観は梨地・鏡面と自由な表現が可能です。

B

耐食性・密着性の向上に燐酸塩・クロメートを行い良い評価があります。

C

硬度は塗膜なので、硬度・耐摩耗性に劣ります。

D

塗膜の耐熱温度に依存します。

※ このレポートの出典は、「表面技術」1989・Vol、49 No、11です。

※ この記事は1998年11月時点のものです。


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