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「ステンレス鋼の着色」の提案


 ステンレス鋼は、特有の金属光沢による美しい外観と、錆びにくいと言う優れた性質があることから、建材、浴槽、家電、機器、車両など広範囲な用途に使用されています。
最近はその需要の拡大によって、ステンレスの表面に数多くの色彩が要求されるようになりました。
 ステンレス鋼の発色は、ステンレスの表面にできる酸化皮膜の「光の干渉現象」によって、美しい色彩の表面を得ることができます。その着色方法は、電気化学的方法、溶融塩法、化学的方法などがあります。いずれの方法も、ステンレス鋼を強制的に酸化し、酸化皮膜を作り発色をさせます。
 黒色皮膜を得る方法は黒クロムめっきによる方法がありますが、黒色表面には欠点も多く、加工コストも著しく高いという難点があります。
 今回、提案する着色法は低コストで黒色皮膜を得る方法です。最近では、生産性も高く他の黒色の製法に比べ、コストを押さえられるということもあって、広く使われています。例えば、カメラなどの光学機器や、熱を発するような精密部品の内装など、目に触れない部品に使われています。
1.電気化学的方法
電解着色法と呼ばれ、陽極酸化法の1つで、チタンやアルミの陽極酸化と同じ方法す。
濃厚な水酸化ナトリウム溶液の中で、品物を陽極にして電解を行い、酸化皮膜を作ります。
少し、くすんだ金色、赤色、青色などの色調が得られます。
2.溶融塩方法
 クロム酸酸化法とも呼ばれ、6価のクロム酸塩の高温溶融塩中に浸漬して、強制酸化させて酸化皮膜を作る方法です。400〜500℃のクロム溶融塩から、黒色を得ることが出来ますが、高温で処理するため危険がある上に、加工品は高熱処理による歪がおこります。また、表面を荒らし金属光沢を失なう等の欠点があります。
3.化学的方法
■硫化法

水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)が主な成分で、これに硫黄化合物を添加して使います。処理液は高温で、硫黄化合物の分解による硫化反応が起こします。その反応を利用して、酸化物-硫化物の混合黒色皮膜を作る方法です。

■低温酸化法

 この処理液は水酸化ナトリウムに、強い酸化力をもつ化合物が添加してあります。
比較的、低温で着色が出来ます。しかし素地との密着は破壊によって剥がれます。
化成皮膜なので耐摩擦性を必要とするものには十分なテストをおすすめします。

以上のように、各方法とも一長一短があり使用目的によって選ぶ必要があります。

当社の推奨する方法は「低温酸化法」です。

この方法は、ステンレス鋼の種類、加工方法によって前処理が異なります。黒く染まりにくいものもありますので試験の必要があります。
この方法の最大の利点は
@ 化成皮膜なので、工程が短く処理も容易、低コストで黒色が得られます。
A 漆黒な表面が得られます。
B 耐熱性があります。
この皮膜の欠点は

@

酸化皮膜なので素地との結合力が弱く、折曲げたりすると皮膜は破壊されます。
使用条件にあわせてご検討下さい。

A

使用環境によっては黒色皮膜が失われますので、使用条件によってご検討下さい。
なお、耐指紋性や黒色皮膜を保護するために、クリアーコートや防錆油浸漬処理などを行う場合もあります。

※ この記事は1999年3月時点のものです。


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